熱中症(スポーツドリンクの落とし穴)

暑い夏になると、怖いのが熱中症。コロナの影響でマスクが必須となり、より熱中症に注意が必要になりました。

 

 

熱中症予防のためには、「こまめに水分を補給する」という知識もだいぶ浸透してきました。

 

 

 

 多くのアスリートは脱水予防,パフォーマンス改善のため、積極的に水分補給を行っています。水分補給には、ただの水よりも塩分や栄養分を含むスポーツドリンクのほうが良いのですが、しかしスポーツドリンクを飲み過ぎるとよくないこともあるので注意が必要です。

 

 

スポーツをした時のカラダの変化

運動によって高くなった体温は汗をかくことで調節されています。汗をかくとカラダの中の水分や電解質は失われます。電解質の不足すると筋肉の代謝が落ち、パフォーマンスが低下します。

 

スポーツドリンクの特長

 汗の成分の大半は水ですが、スポーツドリンクにはナトリウムやカリウムなどミネラル分も含まれているため、失われた電解質を補うような成分が配合されています。そのほか、疲労回復を促すクエン酸や効率的なエネルギー源となるブドウ糖なども含まれているものもあります。

 

注意その1 糖分の過剰摂取>

スポーツドリンクに限らず、炭酸飲料やジュースなどにはペットボトル1本(500ml)あたり10~15個前後(30~60g)の角砂糖が含まれています。

成人男性の場合、食事以外で1日に摂取しても良い糖分はだいたい25g/日程度となっており、500mlのスポーツドリンクたった1本で1日の必要摂取量を超えてしまいます。

 

<注意その2 虫歯の原因>

スポーツドリンクは虫歯を引き起こす原因になります。虫歯はプラーク(歯垢)の中の虫歯菌が糖分を摂取し、酸を作って、歯を溶かします。スポーツドリンクには多くの砂糖が含まれているので、虫歯菌が活発に動きます。

普段、食事をした後でもお口の中は酸性になりますが、唾液が中和して口の中を中性に戻してくれます。スポーツドリンクにはクエン酸やアミノ酸などが含まれているため、口の中は強い酸性の状態になります。スポーツをしている時は唾液の量が減っているので、口の中を中和するには時間がかかります。

時間にすると正 常:40分 運動時:60分位だそうです。

口の中が酸性に傾くほど、酸性の状態が続くと歯が溶かされるので、虫歯になりやすくなります。

 

 

 

野球やサッカーなどのスポーツをしている子どもが、休憩のたびにスポーツドリンクをがぶがぶ飲んでいると、口の中は酸性の状態が長く続き虫歯の危険が増えてしまいます。

 

研究では一般人に比べて、スポーツ選手は虫歯や酸蝕症の発症リスクが高いことが明らかにされています。2012年ロンドンオリンピック参加選手278名の調査結果では、虫歯の有病者率は55.1%、酸蝕症に至っては44.6%もの高い値を示し、スポーツドリンク摂取との相関関係があったといいます。

 

スポーツドリンクの摂取(正しい飲み方)

水を飲むなと言われた一昔前と違って、積極的な水分補給が必要不可欠です。しかしながら水分補給が「スポーツドリンク」を飲む場とならないように注意しましょう。

一般に,運動中の水分補給量は

10 〜 15 分おきに 100 〜 200ml が適切とされています。

練習内容や強度、時間、環境、気象状況に応じて飲み分けましょう。

暑い夏の盛りに大汗をかいて、体力を消耗も激しい時はスポーツドリンクを飲むべきで、涼しい時や短時間の運動であれば水やお茶ですませましょう。

 

 

 

<参考文献>

Oral health and impact on performance of athletes participating in the London 2012 Olympic Games: a cross-sectional study. Needleman.I et.al

水分補給を伴う運動負荷後の含嗽が口腔内環境に及ぼす影響 上野俊明