コロナウイルスの後遺症(味覚障害それとも嗅覚障害?)
現在、オミクロンの市中感染が発生し、第6波の感染の波に注意しなければならない時期がいよいよきました。
これまで 1,731,071人のコロナウイルスの感染者が報告されています。感染者の年齢は幅広い年代で感染が報告され、感染後も様々な後遺症で苦しんでおられる方がいるのが現在の日本の状況です。
後遺症には思考力・集中力の低下、倦怠感、睡眠障害、頭痛、痰、味覚異常、嗅覚異常、脱毛などが報告されています。
厚生労働省が6月16日に開催した新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボードでは、①新型コロナウイルス中等症以上を対象にした後遺障害②新型コロナウイルスの長期合併症の実態把握と病態理解解明③新型コロナウイルスによる嗅覚、味覚障害の機序と疫学、予後の解明――が報告されました。
注目したいのが
③新型コロナウイルスによる嗅覚、味覚障害の機序と疫学、予後の解明
金沢医科大学耳鼻咽喉科教授 三輪高喜らによる研究ですが
石川県、東京都、千葉県、大阪府、愛知県の11病院、6療養ホテル病院入院中、ホテル療養中の無症状・軽症・中等症のCOVID-19患者(20歳~59歳)の参加希望者(アンケート回答者数251名、内119名)に嗅覚・味覚検査(検査キット使用)を行い、嗅覚・味覚の点数付けを行いました。
・嗅覚障害を自覚する例の多くが嗅覚検査でも正常値以下を示したが、味覚障害を自覚する例の多くは味覚検査は正常であった ⇒多くの味覚障害例は嗅覚障害に伴う風味障害の可能性が高い
・1か月後までの改善率は嗅覚障害が60%、味覚障害が84%であり、海外の報告ともほぼ一致し、味覚障害、嗅覚障害の症状はコロナウイルス感染症の治癒に伴い、大凡の人で早急に消失するそうです。
私は学生の時に鼻骨を骨折をしました。手術(整復)後に鼻の穴に沢山のガーゼを詰めた状態で2週間くらい生活をしましたが、その時は何を食べても味がしなかったことを思い出しました。味覚に異常がなくても、味がなくなるとは思いもしませんでした。「におい」は生活の中、特に食事には非常に大事なものです。
これまで味覚異常がなぜ起こるのかは分かりませんでしたが、嗅覚の異常が治れば味覚も改善する可能性があることがこの研究から示されています。今後も研究によりコロナウイルスの病気が解明されていくでしょう。
今年も残りわずかとなりましたが・・・
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これまでに沢山の方にみて頂き、ありがとうございます。これからも皆様の健康に役立つ情報をお届けしたいと思います。
それでは感染に気をつけて、良いお年をお迎えください。
<参考文献>
1)厚生労働科学特別研究事業
https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/000798853.pdf