虫歯のはなし〜おやつ〜

食事をすると口の中は酸性になりますが、特にお菓子ではどの程度むし歯を起こす力があるのか(酸を産生しやすい食品があるのか)まとめた実験があります。

しかしこの実験には落とし穴があります。キャラメルなどは虫歯になりやすいお菓子になりますが、食べ方によってその虫歯誘発性はかわります。虫歯誘発性の高いキャラメルも、丸飲みにすれば虫歯にはならないですし、ずっとキャラメルを食べ続けると虫歯になります。虫歯誘発性の低いお菓子も、就寝前に食べると虫歯になる確率は高くなります。

では子どもにおやつを上げるにはどのようにしてあげるのが良いのでしょうか。

そもそも子どもの食事はなかなか大変です。1日3食、バランスよく栄養を摂れるようにお母さんは日々格闘されていると思いますが、1日3食の食事をすることは誰が決めたのでしょうか。

それは1657年、明暦の大火が起こります。江戸時代に起こった大火災で、焼け野原となった江戸の町を復興させるため、幕府は全国各地から大工や職人を集め、朝早くから夕方まで働かせました。しかし、このように多くの大工や職人が朝から夕方まで働かされていると、1日2食では持たないという不満が発生します。そこで幕府は朝と夕だけでなく、昼食も提供するようになりました。 こうしことが1日3食文化の始まりと言われています。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

さらに時代がすすむと、日本で学術的に一日三食を最初に推奨した人は佐伯矩(ただす)博士という方で、体重を元に必要な摂取カロリーを元に計算しました。江戸時代の事を考えると、現代人では1日3食は多いような気もします。では本題の間食はどのようにとるのが一番良いのでしょう。

日本小児歯科学会のホームページより間食の取り方についてまとめています。間食とは1日3回の食事の間に食物を食べることをいいます。年齢により間食の摂る量や摂り方は異なってきます。

幼児期前期の間食

幼児の消化機能は未熟であり、1回に食べられる量も限られるため、特に昼食から夕食にかけては間に栄養補給が必要です。また幼児期特有の遊び食べ、むら食い、小食、あるいは食事時に寝てしまい、欠食などが起こります。1日3回の食事だけでは必要なエネルギーや栄養素を満たすことが難しいので、間食は栄養素を整える「補食」の意味で必要です。

<好ましい間食>

1日3回の食事と1~2回の間食は、時間を決めることで生活リズムを整えることができ、また空腹と満腹の感覚を覚えることができます。

<好ましくない間食>

子どもの欲しがる時におやつを与えれば食欲にも影響し、生活リズムを乱す原因になります。

 

 

 

 

 

幼児期後期(3歳以降)の間食

幼児期は乳児期に比較して成長は穏やかになるものの、体重1kgあたりに必要なエネルギー量は成人の数倍になるといわれています。しかし消化機能は未熟なため、3回の食事だけでは必要エネルギー量が不足しがちです。このため、必要な熱量を摂取するために3回の食事以外に食物を摂取が必要です。

<好ましい間食>

1日1回で20-30分くらいで済ませ、食生活リズムを作ることが重要です。

<好ましくない間食>

間食として市販の菓子類や甘味飲料の摂取が多くなると、3度の食事に影響が出ます。また、遊びなどでのエネルギーの発散が少ないと、食欲がわかず食事量が少なくなってしまいます。

 

 

 

 

 

学齢期の間食

小学生は幼児期よりも一般的に運動量が増加するので水分摂取や栄養補給からも間食を必要とします。特に運動部(クラブ)の多様化、学習塾・習い事利用により栄養摂取量にはかなり差がでます。小学校低学年児は胃が小さいので、消費エネルギーの関係からみても、頻回の飲食物摂取が必要になります。

<好ましい間食>

塾や習い事をすることが少ない小学校低学年までは幼児期後半と同じで良いです。

自分で考えて摂れるようにしていくのがよいでしょう。

<好ましくない間食>

小学生になるとゲームをしながら、テレビを見ながらなどの「ながら食べ」が増え、全体では約20%が「よくある」と答えている。何かをしながら食べることは、人とのコミュニケーションや味わって食べる習慣がつかず、「ダラダラ食べ」になりやすく、むし歯の原因にもなります。スナック菓子ばかりを食べる、朝食を食べないでおやつで補う、ペットボトルを持ち歩いて水代わりに飲む、などは好ましくない間食になります。

 

 

 

 

 

おやつは子供の楽しみの一つなので、食べる時間を決めるなどして、過度に制限しないようにして上げて下さい。

 

(引用文献)

・日本小児歯科学会 学会からの提言 「子どもの間食に関する考え方」

・子どものむし歯予防は食生活がすべて 4人の子どもに歯を磨かせなかった歯科医の話 黒沢 誠人/幕内 秀夫【著】風涛社2017/11

・子どものう蝕治療とリスクマネジメント 木本茂成・弘中祥司・田中晃伸 編集委員 デンタルダイヤモンド増刊号2016/07

・食品の付着性と摂食時の口腔内停滞性−齲蝕誘発能 を考慮して−(栄養と食糧 35 No.3 213〜216 1982松久保隆 他)

・管理栄養士 圓尾和紀 カラダヨロコブログ