歯周病のおはなし②

今もなお、新型コロナウイルス感染症の猛威は続いており、人々の生活や経済に最も影響を及ぼしていますが、生活に影響を与える感染症はウイルスだけではありません。

歯周病は2001年に『全世界で最も患者が多い病気』として歯周病をギネス世界記録に認定されています。『地球上を見渡しても、この病気に冒されていない人は数えるほどしかいない』とギネスブックに記されています。

世界の歯周病の感染者数

最近の世界疾病負荷研究(GBD、1990–2010)の調査によると、約7億4300万人が重度の歯周病に罹っているそうです。

重度の歯周病を年齢を標準化にして有病率を示しています。

日本の歯周病の感染者数

日本では厚生労働省の2016年の調べによると、歯周病に特徴的な歯肉の所見(歯周ポケットがある、歯石の沈着、出血)がある人の割合が20〜34歳で約6割、35歳〜59歳で7割となっています。

歯を失う原因が歯周病

歯周病は、歯周病菌に感染することによって起きる感染症です。歯茎の内側から細菌が入り込み、炎症を起こします。炎症が起きると、歯茎が腫れていきます。症状が悪化すると骨を溶かし、歯を支える組織が弱くなり、歯がグラグラ動くようになります。

日本人が歯を失う原因としては、歯周病とムシ歯が二大原因となっていますが、40代後半からはムシ歯より歯周病のほうが、割合が高くなってきます。全体としては歯周病が最も割合が高く、約4割を占めています。

 

気づかないうちに進行する歯周病

歯周病はサイレントディジーズと言われ、痛みなどの自覚症状がなく進行する病気です。通常の歯周病は成人型歯周炎といって40代後半から50代を過ぎたあたりで、はっきりとした症状がでてきます。

歯や口の状態について気になることがある割合(歯科疾患実態調査、2016年、年齢階級別)

しかし厚生労働省の調査よると歯周病の症状である「歯ぐきが痛い、腫れている、出血がある」を20代後半から自覚していることがわかります。

 

歯周病は10代でも起こる

さらに令和元年の学校保健の統計によると「歯肉の異常」を指摘された者(歯肉に炎症があり,歯科医師による診断が必要である者)の割合は幼稚園児 (5 歳)で0.27%,小学校児童で1.86%,中学校生徒で4.82% と,年齢とともに増加しています。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

通常、10代で歯茎が腫れている・痛いなどの症状は、歯肉だけが腫れている比較的軽度な炎症の状態で、「歯肉炎」のことをいいます。この状態であれば大抵の場合、原因となっている歯垢と歯石を除去し、丁寧にブラッシングをすれば治ります。

しかし、この歯肉炎を放置したままにすると炎症が広がり、歯を支えている骨を破壊します。次のステップである「歯周炎」の状態になってしまいます。

また歯周病のなかには早期発現型歯周炎といって、発症年齢が10代から早くに症状が出てくることがあります。早期に発症した歯周病は急速に進行して4-5年で約50%の歯周組織が破壊される恐ろしい歯周病も存在します。

 

もし子供が学校で歯科受診を勧める用紙をもらってきたら、将来、重度の歯周病にならないためにも、放置せずに受診するようにしましょう。

 

歯周病は必ずかかる病気ではありません。ほとんど歯周病は日頃の歯磨きや定期的な歯科検診などを受け、プラークや歯石を除去することで予防することができます。

何事も予防は大切です。
<参考文献>
1) Impact of the global burden of periodontal diseases on health, nutrition and wellbeing of mankind: A call for global action Maurizio S Tonetti J Clin Periodontol. 2017 May;44(5):456-462.

2) e-ヘルスネット 厚生労働省(https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/teeth/h-03-004.html